近年の男子バレーは各国際大会の結果を見ればわかる通り、世界のベスト8くらいまでに入るチームの力が均衡し、そのどのチームがどの大会で優勝してもおかしくないのが現状。同時にそこからトップ12くらいまでのチームとの力の差もかなりちじまりつつあるように思う。今回のワールドリーグはまさにその現状を明確に表す結果となった。
優勝したフランスは、昨年の世界選手権4位と間違いなく力を持ったチームだが、世界ランキングは12位、まさかグループ2から勝ち上げって優勝するとは誰もが予想していなかったのではないだろうか。もちろんエンガぺス選手のような今季セリエA1で優勝したクラヴチームで活躍するスターや世界トップ・リベロ、グレベニコフ選手他個々の選手の素晴らしい活躍もあったが、優勝の裏には予選から見せたチームとして常に力を出し切れる安定感にあったように思う。
予選ラウンド、グループ1で圧倒的強さを見せ、昨年に続き優勝かと思われたアメリカは、後半イランに2敗した後、それまでなかったアップダウンを決勝ラウンドでも引きずり、3位に留まった。チーム内で問題が起こってしまったイタリアはさておき、ブラジル、セルビア、ポーランドと力を持ったチームがなかなかリーグを通してピークの力を維持できず、星を落としあった。そんな中フランスはアメリカに敗れたものの、予選全勝、決勝ラウンドでも最も安定した力を見せていたように思う。相手とどう戦うという以前に自分たちの最高レベルのバレーを大会を通して持続できた結果ではないだろうか。
現代の男子バレーではサーブ力、そしてレセプションの技術がどのエリアより要求されてる。力の競ったチーム同士の戦いとなった決勝ラウンドで、試合の行方を決めたのはやはりそのサーヴとレセプションだった。もちろん、ケガを負った選手の欠場もあったが、ブラジルがベスト4に残れなかったのにはサーヴが安定しなかったことが大きい。おそらくチームとして最強のサーヴ力を持っているでだろうアメリカも負けた試合では強いサーヴが入っていない。決勝でフランスに敗れたセルビアもセミファイナルで見せたサーヴ力と安定したレセプションを決勝では維持できていなかったように思う。 ワールドカップ、そしてオリンピックに向け、各チームさらにそこを強化してくることは間違いない。
そんな中、今日本がどこの位置にあるかと考えると、まだまだ、グループ1には遠いレベルにあるように思う。高さやパワーだけでなく、技術で世界に追いつかなければならない要素も多い中、やはり圧倒的に弱いのはサーヴ。アジア選手権での優勝は素晴らしいが、その試合を見てもワールドリーグ、特に決勝ラウンドに進んだチームと比べるとレベルの差は明らかだ。柳田選手、石川選手といった若い選手は世界レベルで通用するサーヴを持っていると思うが、世界のトップ12に入るためには最低でもあと2人、出きれば3人、同レベル、もしくはそれ以上のサーヴが打てる選手がコートの中に必要だ。つないで決めるという日本の伝統バレーは素晴らしいと思うし、もちろんなくてはならない要素ではあるが、現代男子バレーにおいて、得点力、そして相手にプレッシャーをかけられる安定したサーヴ力を持った選手の育成は最大のプライオリティになるべき。極端ではあるが、どんなに他の技術でたけていても、サーヴ力がない選手は代表に選択されるべきではないさえと思う。それくらい徹底された強化が行われないと、日本の未来は厳しいのではないだろうか。
日本チームを語られるとき最初に出るのが世界との身長差、そして確かに今のバレーのルールは身長の大きい選手、チーム有利になっているように思う。しかし、サーヴはその身長以外の部分で〔もちろん高いに越したことは無いが)個人技として十分力を出せるエリアだ。 バレーボールはサーヴで始まり、そしてサーブで終わらせることも出来る。ぜひ強化し世界を驚かせてほしい。
最後に来年6月17日から7月17日の期間で行われる2016年ワールドリーグのフォーミュラが発表されたので少し触れたい。
本来であれば、今回グループ1で最下位となったロシアとグループ2で優勝したフランスが入れ替わるはずだが、来年はグループ1の枠が8から12チームへと広げられることとなった。グループ1の12チームはセルビア、アメリカ、ポーランド、イタリア、ブラジル、イラン、オーストラリア、ロシア、グループ2からワイルドカードとしてブルガリア、アルゼンチン、ベルギー、そして優勝したフランス。グループ2には今回のワールドリーグで13位から24位までの12チーム、日本、オランダ、カナダ、フィンランド、チョコ、キューバ、韓国、ポルトガル、ワイルドカードのトルコ、スロヴァキア、中国、そしてグループ3で優勝したエジプト。グループ3の8チームはまだ発表されていない。
これまでとの大きな違いはプールが週ごとに代わリ、期間が短くなっていること。女子のワールドグランプリに近い。グループ1の決勝はトップ5チームとホストのを含めた6チームによって、グループ2,3の決勝はトップ3チームとホストの各4チームによって行われる。グループ2から1への決勝進出はない。 各ホストは追って発表される。
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