いろんなところで、最終予選を振り返る記事を見かけるので、自分なりの感想を勝手に書かせていただくことにしました。
まず世界ランキングだけでこの大会をに見ると、5位の日本が優勝というのが予測できたと思うのですが、例えば世界ランキング14位のオランダが2位の成績だったように、国際大会の試合に出ないとポイントがとれないFIVBのランキングシステム、そして力が近攻している現在の女子バレーで、そのランキングはほとんどあてになりません。
昨年のヨーロッパ選手権、そして今年のオリンピック・ヨーロッパ予選で他の強豪を抑えて2位、ドイツ女子ナショナルチームを率いたイタリア人監督、ジオバーニ氏が昨年監督に就任して以来、オレンジ旋風を巻き起こしているオランダ・チームを個人的には、この大会の優勝候補と上げていました。 しかし韓国に敗退、そして日本に苦戦。 そこにはアジアのチームと対戦経験のあまりない選手が多いということが、少なからず影響していたのではないでしょうか。 逆にキイ・プレイヤーの多くがトルコ・リーグでプレイしいるため、同じリーグで活躍する韓国のキム選手は戦い方を良く知っていたように感じます。
優勝したイタリアは、昨年のヨーロッパ選手権ではまさかの7位、今年のオリンピック予選でも予選ポーランドやベルギーにフルセットとなるギリギリの勝利でこの大会への参加権を得ました。 ベテランのキャプテン、デル・コーレ選手を軸としながらも、今回の大会では、これまで中心であったボゼッティ選手他が外れ、昨年までと少し違った、若い力を加えたロースターで、より攻撃的チームという印象を受けました。 負けてしまったオランダ戦を見ると、ほとんど出番のなかったピッチニーニ選手より、ボゼッティ選手を控えにおいた方が、崩れた場面、チームがより安定したのではと思いましたが、途中交代で入る若い選手達の力に層の厚さを感じます。 若手がミスを無くし、レセプションが安定すれば、強くなりそうです。 それにしてもセッターのORRO選手とオポジットのEGONU選手の17歳コンビは末恐ろしい存在です。
日本に勝利した韓国はキム選手が一皮向けた感がありました。 プレイ自体以前ほどの圧倒的凄さは感じないものの、ミスが少なくなり、エースという立場だけでなく、リーダーとしてチームをしっかりまとめていたと思います。 ただ、キム選手を温存して戦ったドミニカ戦で敗れたように、後任は出てきておらず、まだまだ勝敗はすべてキム選手の肩にかかっているとも言えると思います。
これから新旧後退を迎えるであろうタイ・チーム。 残念ながらオリンピックの出場権を逃がしてしまいましたが、若い選手の活躍が東京オリンピックでは中国と並んで日本にとって怖い存在になるのではと予感させてくれました。 名セッター、NOOTSARA選手の後任とも言えるPORNPUN選手のプレイは、正直その安定感とトス回しで同年代の宮下選手を上回っていたように思います。 速攻から両サイドへの高いトスも打ち切れるミドルのTHATDAO選手や日本の古賀選手を思わせるアウトサイドのAJCHARAPORN選手など、熟年のコンビバレーもさることながら、若手選手の台頭が目立っていたように思います。
そして日本。いろんな課題が見えたとは思いますが、大きなポイントはやはりセッターとサーヴだと思います。 セッターに関してはこの大会で見えたことではなく、竹下選手の引退以降ずっと続いていることなので、正直、真鍋監督は迷走してしまっているのではと思ってしまいます。 宮下選手は素晴らしい才能を持ったプレイヤーで、選手としての成長も見られると思います。 しかしここ数年全日本チームでのプレイを見ていて、セッターとしてのスタイルの変化はほとんど見ることが出来ません。 セッターとリベロを育てるという監督のコメントを見かけるのですが、若いとは言え、14歳から日本のVリーグでプレイし、ある意味自分のスタイルをすでに確立しつつある宮下選手を全日本でどう育てるのか、具体的部分があまり見えてきません。
宮下選手は非常に攻撃的セッターだと私は思います。 試合の流れを読み、チームとして攻撃を組み立てていくセットワークではなく、自分も含めた個人技でその時その時の点を取っていくタイプで、トス・フェイントが多く、おとりを使ってブロックをふるより、トスのスピードで勝負するところにそれが現れていると思います。 実際サーヴやブロックでもポイントを取れるプレイヤーなので、チームには十分貢献できているのですが、そのスタイルが全日本の中では上手くかみ合っていないように思います。
現在のチームには得点力を持った選手が揃っています。 もちろんブロックにしっかり2枚以上付かれると木村選手や長岡選手に頼ざる得ないと思いますが、一枚半以下であれば、どの選手も十分抜く力を持っているように思います。 相手を欺き、各選手の持ち味を活かせるセット。 技術的なことではなくて、そういった思考を変えたスタイルの見直しが、今の宮下選手には必要なのではないかと思います。 いくらトスの高さを修正したり、もっとクイックの数を増やすなどといったような支持が出ても、セッターとしての考え方が変わらないないと、結局は単発的な修正で終わり、その後はまた同じことの繰り返しになってしまうように感じます。 オランダ戦で起用された田代選手はそういった意味で違った日本のバレーを見せてくれて新鮮でした。 とは言え、リオ、そして東京オリンピックでメダルを目指すためには、サーヴ、ブロック、そしてディフェンス力で抜きに出ている宮下選手は、絶対必要な存在だと思うので、是非頑張ってほしいです。
そしてサーヴ。 日本の武器になるべく、サーヴがこの大会ではほとんど機能していなかったように思います。 緊張や硬さから出てしまったのか、肝心な場面でのミスも目立ちました。 日本がメダルを取るためには、サーブ部門のトップ10に最低3名が入るのが条件だと思います。
残念ながら期待された古賀選手、昨年のような活躍を見ることは出来ませんでした。 昨シーズンと比べると、この大会では勝負する以前に最初から雰囲気に飲まれてしまっているような目をしていたように感じます。 プレッシャーはあると思いますが、まだこれからグランプリもあるので、失敗を恐れず、伸び伸びとプレイし調子を上げてほしいと願います。
今シーズンのチームは、2枚のミドルブロック、そしてオポジットにエースを置くという男子でいうスタンダードなフォーメーションに落ち着いたことで、ブロックとレシーブの関係は昨年より遥かによくなっているように思います。 またオポジットの長岡選手は、得意のライト攻撃を活かせるので得点力が上がっているように思います。 あとはレシーブで上げたラリーからの攻撃をどう組み立て得点にしていくか。 そこが回り始めれば、メダルに近ずくことができるのではないでしょうか。
まもなくスタートするグランプリではブラジル、ロシアといったオリンピックで同じプールのチームや、アメリカ、セルビアといった強豪とも対戦できるので、いろんな可能性を試しながら、課題の修正、そして少しでも調子をあげて、リオに備えてもらいたいと思います。
頑張れ日本!
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