2015年7月9日木曜日

ここまでのワールドリーグ



各グループのファイナルを残し、予選ラウンドを終えた今年のワールドリーグ。残念ながら日本はプールD、2位でグループ2のファイナル4へ進むことは出来なかった。ブラジルのリオで行われるファイナル6への出場権をかけて、今週末行われるそのグループ2のファイナル4は、開催国のブルガリア、及び各プールを勝ち抜いたフランス、ベルギー、アルゼンチンによる対戦となった。リーグ直前のNORCECAチャンピオンズカップでアメリカを破ったカナダが勝ち上がってこなかったのが予想外だったが、その他は順当といえる。硬いディフェンスから多彩な攻撃を見せるフランス、若い力が台頭しているベルギー、スピードと技を持つアルゼンチン、そしてケガで欠場しているソコロフ選手に代わり、あのニコロフ選手が復帰した高さのブルガリア。力の均衡した接戦が予想されるが、個人的にはフランスがほんの少し抜けているように思う。

グループ1からファイナル6への進出を決めたのは、開催国のブラジルに加え、各プール上位2チーム、プールAからセルビアとイタリア、プールBからアメリカとポーランド。中でもプールBは最終週までどうなるかわからない大混戦となった。印象に残ったのは後半戦でのイラン。地元でのアメリカとの2連戦ではほぼ完璧に近いバレーでアメリカを圧勝した。前半戦の負けが惜しまれる。予選ラウンド最終週前まで全敗、リーグ中に監督退任という事態になってしまったロシアは1勝11敗。昨年も結果を残せなかったが、今年は過去最低の結果となってしまった。決勝ラウンドではブラジル、アメリカ、そしてグループ2の優勝国がプールI、イタリア、セルビア、そしてポーランドがプールJ。力的にはフィジカルな面でアメリカが少し抜けていると思われるが、彼らがその力を発揮できるかは別問題。イタリア、セルビアも、力はあるが安定感に少し欠けているように思う。逆にブラジル、ポーランドはここまで安定した力を見せているが、他を倒せる圧倒的凄さはここまでのところ感じない。非常に面白い戦いになりそうだ。

最後に全日本。今回5勝7敗で、確かに昨年までに比べると結果を出せているように見える。ただ、今のチームを見ると目先の勝利にこだわるがあまり、その先が見れていないように感じる。今回のワールドリーグ全体を見る限り、勝率では昨年を上回っていても、日本と海外との力の差はさほど狭まっておらず、むしろ上位チームとの差は広がっているように見えた。選手の技術はもちろんだがそれ以上に戦略、技術指導が、世界の最先端のバレーを追求する、上位10チームから遥かに遅れているのではないだろうか。例えば、アジアのライバル、イランチームは昨年大きな飛躍を見せ、上位チームを脅かせたが、同時にサーヴ力の弱さがよく指摘されていた。しかし、今年のチームを見る限り、それが見事に改善され、決勝ラウンドへの出場こそ逃がしたが、ロシアから3勝、アメリカから2勝、ポーランドからも1勝し、メダルを狙えるチームへと確実に進歩を遂げている。一方日本のチームには長年代表ながら、未だに今時の高校生でも打たないようなヘナチョコサーヴをしている選手を見かけてしまう。やってしまっている選手へより、それが良しとされているチーム体制に疑問を感じずにはいられない。昨年グループ2で優勝し昇格したオーストラリアも今回プール最下位とは言え、どの試合も内容の濃い戦いぶりで、ブラジル、セルビアから勝利をもぎ取った。高さとパワーもさることながら、非常に粘りのあるチームへと進歩している。アジアではこの2チームと他のチームとの間には大きな差が出来てしまったように感じでしまう。

日本がこれまでより強くなっているのは新しい選手の力であり、チームとしてのバレーのレベル向上では決してないように思う。 批判的になってしまったが、可能性を秘めた若手が多くでて来ている今だからこそ、全日本にはもっともっと先を見て、変化していく現代型バレーを追求して強くなってほしいと願う。

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